2013年7月27日土曜日

●サバイバルホラーの第一人者に聞く!



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 プレイステーション4で、新世代のゲーム開発を進めているトップクリエイターに聞く、インタビュー企画がスタート! 第1弾は、『PsychoBreak(サイコブレイク)』を開発中のTango Gameworks・三上真司氏にお話をうかがった。
※関連記事:【『PsychoBreak(サイコブレイク)』世界が注目する“純粋なるサバイバルホラー”の最新画像を公開!】

◆三上 真司氏(みかみ しんじ)
Tango Gameworks エグゼクティブプロデューサー。『PsychoBreak(サイコブレイク)』ではディレクターを務める。

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◆『PsychoBreak(サイコブレイク)』
Tango Gameworksが開発、ベセスダ・ソフトワークスより、新世代機向けに発売予定のサバイバルホラーゲーム。
特設サイト
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●サバイバルホラーの原点を目指す『PsychoBreak』

――最初に、『PsychoBreak(サイコブレイク)』はどのようなゲームなのかを教えてください。
三上真司氏(以下、三上) 『PsychoBreak』は、サバイバルホラーの原点に立ち返って、“ホラー”、“怖い”というところにすごく力を入れた作品になります。

――三上さんが考えるサバイバルホラーの原点とは?
三上 コントローラーを握って、体感できる“怖さ”ですね。昔、サバイバルホラーゲームを作ったときも、“身構える恐怖”をコンセプトにしていたんです。コントローラーを通じて感じる、グッと身構える、ビビっちゃうような怖さ。相手を目にして焦って、「なんとか死んでくれ」と思いながら一生懸命に銃を撃つような。そんな怖さを目指しています。

――敵を倒す爽快さよりも、怖さに重きを置いているんですね。
三上 そうですね。近年のサバイバルホラーゲームは、“怖い”というポイントに的を絞るというよりも、じょじょにアクションゲームに寄ってきている面があると思いますが、『PsychoBreak』は新規タイトルなので、既存のプレイヤーを意識する必要がない。ゆえに、自分が考えるサバイバルホラーのベストバランスに近づけさせやすいんです。そういう意味では、『PsychoBreak』は、恵まれた条件で開発をスタートできたと思いますね。ゲームファンの皆さんも、ホラーの要素を期待されているようなので、怖さを強調するような調整を行っています。

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――では、主人公は敵に対して、ガンガン攻撃を仕掛けられるわけではない?
三上 銃弾の数は、意図的に少なくしています。ほかに、敵を倒すための手段としては“トラップ”を用意していますが、トラップにはふたつの種類があります。あらかじめマップ上に設置されているものを利用するタイプと、持ち運びができるタイプですね。マップに設置されているものは、気づいていないと自分が引っかかってしまう。でも、慣れてくると、敵を倒すために利用できるようになってくる。そこはゲームならではの要素で、おもしろいと思いますね。

――場所ごとにトラップを見つけて、敵の倒しかたを模索する楽しさがあるのですね。
三上 あちこちトラップだらけにしているわけではありませんけどね。頻繁にトラップに引っかかるのはストレスになるので。トラップは、適材適所という感じで置いています。それから、敵に見つからずに攻略できる“スニーキング”のアクションも可能です。銃弾が少ないぶん、トラップやスニーキングで切り抜けられるようになっている。その点で、これまでのゲームに比べ、遊びの幅が広がっていると思います。

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●PS4での『PsychoBreak』の表現

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――これまでに発表されている『PsychoBreak』の映像や画面写真を見ると、ものすごく“空間”を大切にされている印象を受けます。
三上 それは、アートディレクターの片貝直紀のこだわりです。臨場感、空気感をすごく大事にするデザイナーで、彼の作る空間とホラーがうまくマッチしていると思います。

――極端に大量の敵が出てきたり、大げさな音楽がかかったりすることはなく、静かな空間で、敵と対峙するような……そんなイメージです。
三上 ふだんのゲーム作りであれば、音楽を全面に出していくこともあるのですが、今回はそんなに曲を入れていません。空気感、敵の存在、息遣い、足音。そのあたりの環境音を含めて、“そこにいる臨場感と怖さ”を大事にするために、若干、曲の出番を抑えています。

――なるほど。それゆえに、これほどの臨場感が出るのですね。音ももちろんですが、ライティングにもかなりこだわっているな、と感じます。
三上 僕は、ライティングのメリハリがちゃんとできれば、怖さを楽しんでいただけると思っているので。先ほども話に出た片貝が、ライティングがすごくうまいんです。コントラストの強烈なライティングが。彼のスタイリッシュなライティングと怖さが、うまくマッチして形になってきたな、と思っています。

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――理想のグラフィックを追及するうえで、ハードの進化は重要でしょうか。
三上 そうですね。解像度が上がりますし、ライティングに関しても、昔は大雑把にしかできなかったところが、細かく調整できるようになりました。

――PS4だからこそ、実現できたことはありますか?
三上 ディテールに対するこだわりを突き詰められるようになったと思います。「これもできる」、「あれもできる」と細かいところを積み重ねていった結果、全体の映像のグレードが上がるような。ホラーで重要なのは、緻密さ、リアリティーです。フィクションのような世界でも、リアリティーのある映像を見ると、「こんな世界、あるかも」と思えますよね。その点で、新世代機のおかげで、表現のランクはこれまでより一段階上がるのかなと思っています。

――“空間”のお話について、もう少し伺いたいと思います。ゲームの中でプレイヤーが訪れる空間には、いろいろなバリエーションが用意されているのでしょうか? 閉塞的な空間であったり、開放的な空間であったり。
三上 はい。僕は、ホラーといえば、やはり“狭い、暗い、だから怖い”というシンプルなところに、すごい奥深さがあると思っています。ただ、ゲームでは、ダンジョンのようなところばかり進むのはイヤなんですよね。ダンジョンしかない世界を魅力的に感じる人は少ないんじゃないかな、と思います。ですので、割と広い場所で開放的な気分を味わって、そこから狭いところに行ってギュッと締め付けられて……そんなメリハリの連続を用意しています。

――そのメリハリの流れは、ゲームの中で、シームレスに体験できるのでしょうか?
三上 完全にシームレス、というわけにはいきませんが、できるだけシームレスに表現したいと思っていて、その点にはかなりのスペックを割いていますね。こだわっているのは、ゲームプレイの部分とカットシーンのつなぎです。どこがゲームプレイで、どこがカットシーンなのか、そんなことを意識せずに、ホラーの世界観に没入できるように、スタッフががんばっています。「えっ、ここも操作できるの!?」と思う場面が多いと思いますよ。

――かなりの没入感が楽しめるのではないかと、期待が高まります。
三上 没入感を大事にしながら作っていますので。没入感を高めるうえでは、やはり音も大事ですよね。敵との距離感と音のボリュームなどの調整には、かなり気を使っています。まだまだ完璧ではありませんが、ゲームが仕上がるまでに、かなり詰めていく予定です。

●三上氏が見るPS4

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――『PsychoBreak』はE3 2013に出展されましたが、海外での反応はいかがでしたか?
三上 “怖い”というところに対して、非常に感触は良かったですね。

――E3 2013では、三上さんはどんなタイトルに注目しましたか?
三上 僕が「おぉ、すごいな」と思ったのは、『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』です。新しいハードの進化をストレートに感じました。

――クリエイターの皆さんにとって、PS4は開発しやすいハードなのでしょうか?
三上 正直に言いますと、まだ手探りなところがあります。いまの時代は、1本を作っただけでハードがわかる時代ではないので、開発に慣れていくことでよさが見えてくると思います。

――ユーザーの視点から見ると、コントローラーなどはPS3からあまり変わっていないので、すんなりと入り込める印象を受けます。
三上 今回のコントローラーは、正当進化として、僕は好感を持って受け止めていますよ。もしコントローラーを変えるんだったら、ズバッと変えてほしいんですよね。心拍数や手の汗を感知したり、嘘をついてるのがバレてしまったり。そういうコントローラーが出たら、おもしろいですけどね。

――では、PS4の機能・スペックの中で、気になっているものはありますか?
三上 それに関しては、じつはまだ完全に把握していないんです。いまの時代って、僕個人としては、ハードの進化より、エンジンやツールの進化のほうが、開発現場にとって重要な時代になっていると思います。ハードは当然のようにすごく進化していて、枠組みとしてはすばらしいものになっている。そのハードを使いこなすためのエンジンやツールが大事なんです。そして、最終的に重要なのは、人の手ですよね。職人が生み出すクオリティー。ハードが進化することで、作り手の環境や力量が余計に問われる時代になってきている。そういう意味では、かなり厳しい時代ですね。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
三上 恐怖感を、フィルターなしでいかに直観的に感じられるかということを考えたとき、緻密な表現による雰囲気作りは非常に大事です。そこで、PS4のスペックが活きていると思います。圧倒的な臨場感とリアリズムを実現するために、僕らは一生懸命がんばっているので、期待していてください。



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